歌を聞いた日

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秋から冬にかけて、私の住む町には白鳥が渡ってくる。 彼らの渡来を見るのが、私の一番の楽しみ。 今年も近くの湖に彼らが渡って来たのをニュースで知った。 だから私は今、その湖にいる。少々暗いが気にしない。 ここは、自然を残したまま…少しだけ手が加えられた程度に小さな柵が立てられ、数ヶ所ベンチが置かれており、小さな明かりの街灯がたっている。 白鳥が渡ってくるのを楽しみにしている地域の人や、観光にきた人たちのためだ。 私はいつも真ん中のベンチに座り、何をする訳でもなく彼らを見る。 周りからみれば寂しい人に見られるかも知れないが、そこはあえて気にしないのが私。 だって、白鳥って綺麗だと思わない? 美しい純白の羽。 とても優雅で…声は透き通るように綺麗。 とても落ち着く…安心する。 寒いのだが、彼らの声にうつらうつらと目を閉じかけた時だった。 白鳥と違う、人の声が聞こえたのは。 声じゃなくて……歌…? 気がつくと辺りは真っ暗で、人一人いなくなっていた。 もうそろそろ帰ろう、そう思い立ち上がろうとしたときだった。 「お前なにしてんの?」 _
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