1人が本棚に入れています
本棚に追加
カケルは村に近付くと、微かに悲鳴を聞き取った。
悲鳴など物心ついてからは、いたずらした際に上がる悲鳴しか聞いたことがない。
だが、先程の悲鳴はそれとは異なった。
━━なんだ今のは?
「さ……さあ」
直後、村から煙が上がり始める。
何が起こっているのか。
カケルは、せいぜい火事だと思っていた。
━━見ろ。感じろ。
アイズがそう言うのと同時に、カケルの視界は暗転した。
先程までは違い、全てがモノクロ。
しかし、微かに青いものや赤いもの、黄色いものがうごめいているのが見えた。
それらが、村の中をあちこちに動き回る。
よく見ればそれは人の形をしていた。
そのうちの一つが何かを振り上げ、振り下ろす。
隣接していたものが倒れて徐々に小さくなる。
「なんなんだ……コレ?」
━━これが我の能力だ。ものの根源や魔力、それらの流れを視界を介して見る。
「…………」
━━先程みたく、徐々に小さくなるのは死を意味する。
最初のコメントを投稿しよう!