1人が本棚に入れています
本棚に追加
創造世界『カルミナ』。
そこにある小さな村『タスト』。
その村の学校━━といってもごく小規模であり、完全には機能してはいない━━では授業を行っていた。
「全く……この子はいつも寝てばかりですねえ」
教師を務めているラークは呟いた。
長髪をひとくくりにした髪。
銀縁眼鏡に一重の黒い瞳。
いつも笑顔を絶やさない、村唯一の男教師だ。
「起きなさい、カケル」
カケルと呼ばれた少年は、机にうつぶせる形で寝ていた。
「み……らけ……」
「寝言……ですか。仕方ない。実力行使です」
ラークはそう呟くと、持っていた本の角でカケルを殴った。
周りの生徒から同情の声が上がる。
「……いったー。何するのさ、先生!」
「君が寝ているからです。さ、今回はどんな夢だったんです? また冒険、探検ですか?」
「なんか……声が聞こえてきた。見開けとかなんとか」
「……ふーん。変な夢ですね。さて、変な夢は忘れて授業を続けましょうか」
最初のコメントを投稿しよう!