見開け

4/8
前へ
/20ページ
次へ
創造世界『カルミナ』。 そこにある小さな村『タスト』。 その村の学校━━といってもごく小規模であり、完全には機能してはいない━━では授業を行っていた。 「全く……この子はいつも寝てばかりですねえ」 教師を務めているラークは呟いた。 長髪をひとくくりにした髪。 銀縁眼鏡に一重の黒い瞳。 いつも笑顔を絶やさない、村唯一の男教師だ。 「起きなさい、カケル」 カケルと呼ばれた少年は、机にうつぶせる形で寝ていた。 「み……らけ……」 「寝言……ですか。仕方ない。実力行使です」 ラークはそう呟くと、持っていた本の角でカケルを殴った。 周りの生徒から同情の声が上がる。 「……いったー。何するのさ、先生!」 「君が寝ているからです。さ、今回はどんな夢だったんです? また冒険、探検ですか?」 「なんか……声が聞こえてきた。見開けとかなんとか」 「……ふーん。変な夢ですね。さて、変な夢は忘れて授業を続けましょうか」
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加