1人が本棚に入れています
本棚に追加
放課後。
カケルはラークに呼ばれ、教室に残っていた。
「用事って何?」
「いえ、大したことではないんです。はい」
カケルは自分の手に置かれたバスケットを見つめた。
「なにこれ?」
「居眠りの罰ですよ。村の外れにある薬草栽培地に行って、明日の授業に使うラベンダーとセージを採ってきなさい」
「えー! なにそれ。だいたい村外れって魔物出るじゃないか!」
「君の剣術の腕前なら大丈夫ですよ。……さ、行ってきなさい」
ニコニコと笑い続けるラーク。
カケルはため息を一つつくと、薬草栽培地へと向かい歩き出した。
一旦家に帰り、いつか父から譲り受けた剣を携え、準備を整える。
「……行ってきます」
亡き母の遺影に手を合わせ、家を出た。
一瞬、左目が疼く。
気のせいだと思い、カケルは特に気にかけなかった。
最初のコメントを投稿しよう!