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薬草栽培地へは、村から北上すればすぐに着く。
子どもの頃のカケルは、薬草の知識を学ばさせられに祖母に連れていかれていた。
もっとも、その際は護衛に父がついてきていたが……。
途中、何度か魔物に出くわしたが、カケルは難なく撃退した。
戦う度に、左目の疼きは酷くなる。
薬草栽培地に着いた頃には、目眩さえ覚え倒れそうになっていた。
「ハッ……ハッ……なんだ、この目眩。病気?」
薬草栽培地への案内板へともたれかかる。
思わず笑いがこみ上げた。
「なんで笑ってんだろ。早く行こう……」
カケルは適当にラベンダーとセージを摘むと、立ち上がった。
大半は雑草だったが、状況が状況だ。
カケルは既に冷静に判断できる状態ではなかった。
左目が疼き、吐き気をもよおした。
あまりのことに立っていられない。
「くそ……う。こんなに左目が疼くなんて……本当に病気なんじゃ……?」
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