‐op.1“Promise”‐

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   木洩れ日が、道ない道を照らす。  初夏の風が、悪戯に木々を揺らす。  その中で、ある二つの影。  まだまだあどけない小学校中学年の少年と少女。二人とも、外に遊びにきたにしては、表情が明るくない。いや、暗いと言った方が適切であろう。  今は二人を繋ぐ手と手も、明日には消えてしまうことを考えると、どうしても笑顔になれずにいた。  ただ、少年はどうしても“あの場所”へと少女を届かなくなる前に連れていきたかった。初めて二人だけで遊んだ、“あの場所”へ。 「……翔」 「…………」  少女が、少年の名を呼ぶ。  だが少年は返事をするどころか、振り向きさえしない。ただ、前を見据えて歩き続ける。  少年に手を引っ張られる形で連れてこられた少女は、もう一度彼の背中を見つめながら名を呼ぶ。 「翔……」 「……舞」  雑木林の中を通り抜け、開(ひら)けた場所にたどり着いた少年は、少女の呼びかけにやっと反応した。振り向き、今でも堪え続ける涙を必死に瞳にためながら、少女の名を呼び返す。  
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