‐The moon‐

5/26
前へ
/80ページ
次へ
  「熊っちー! 文化祭の競技はなにになったんですかー?」余談だが、大輝は熊ちゃんのことを熊っちと呼ぶ。舞たちはフツーに先生と呼ぶ。別に熊ちゃんが呼んでくれと言ったのだから、俺や大輝が敬意を払っていないわけではない。で、っていう話だが、そんなこと言われたら涙目だよ俺?  熊ちゃんの入室と同時に勢いよく手を挙げ元気に質問した大気に、熊ちゃんは待ってましたと言わんばかりに元気よく口を開く。 「じゃあ岡島以外のみんなも知りたいようだからな、教えてやるよ! 今年は、“ダンス”だッ!!」 「?」  ポカンとなる我がクラス。そりゃそうだ。ダンスって、どういうこと?  約一名、ヒューヒュー言ってる空気の読めないバカが一番前の席にいるが、熊ちゃんは大輝をも無視して続ける。 「おいおい、そこは盛り上がるとこだろーよ。まあ、いいか。ルールは、男女ペアになって社交ダンスを踊るんだ。審査員のハートをキャッチしたヤツが優勝って寸法だぞ」  ひとり盛り上がっていた大輝がなんか悲しそうな顔をしてたのは、見て見ぬフリをしておこう。  
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

222人が本棚に入れています
本棚に追加