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「なあ麗人。これ、どう思う?」
「舞ちゃんが出たいって言ってるんだから、一緒に出てあげれば?」
うぐ、麗人は舞の味方かこんにゃろ。まったく他意はない、とでも言いたくなるほどフツーに言葉を返してきた麗人に続けと言わんばかりに舞が被せてくる。
「ほらね!? 麗人くんも賛成してるんだから一緒にヤろ!?」
「……少し考える時間をくれ」
逆方向の麗人に体を向けていたため、背中に抱きついきた舞が耳元で囁くことなく叫んできたことには一切ふれず、俺は麗人の言うとおり舞とペアを組んでダンス大会に出るべきなのかを検討することに。
考え始めて数秒、会議で例えるならば、今回話し合う議題をみんなで確認したぐらいのタイミングで、熊ちゃんの声が俺の耳に届く。
「あ、ちなみにだが、中澤と櫻井、星谷と伊集院、岡島と秋野のペアはもう申し込んどいてやったぞ! 頑張れよお前ら!」
神はどうしても俺に考える時間を与えてはくれないようだ。
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