222人が本棚に入れています
本棚に追加
いつまで、握りあっているのだろうか。
少年と少女がこの場所へと訪れたのは、だいたい午後二時くらいであった。少年が、両親に頼んで二人きりでの外出を許可してもらったのが、午後一時半ごろ。
着いたときの透き通った青色の大空も、今では鮮やかなオレンジ色が瞳に映し出される頃合いだ。初夏であることからも、だいたい午後六時ごろではないのだろうか。
ただ一つポツンとあるベンチに腰かけて、二人はずっと黙ったままお互いの手を握りしめていた。この温もりをいつまでも忘れないように。
だが、さすがに変わりゆく景色を見て時間を気にしだした少女は、おそるおそる少年に話しかけようと口を開く。
「……しょ――」
「決めた!」
「わっ!? ど、どどどうしたの翔!?」
少女が名前を呼びかけた瞬間、少年は大きな声を張り上げた。それなりの力で腕も引っ張られてしまったため、少女の驚きは尋常ではなかった。
突然大声を出した少年は、隣に座っている少女の瞳を見つめる。
最初のコメントを投稿しよう!