‐The moon‐

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   ここ最近――と言っても、まだ二日前からなのだが――こんな生活が続いているのに伴って、舞は暗い夜道でも競技ダンスの本を読んでいる。最初は危ないからやめろ、と言ったのだが、「そこは私だけの騎士(ナイト)が守ってくれるでしょ? 夜(ナイト)なだけに」と、リアクションの難しいことを言ってきたので、俺は関与しないことにした。  ふむふむ言いながら熱心に本を読んでいる舞を横目で見ながら、俺は頭の後ろで手を組みながらあくびをもらす。そのまま夜空を見上げると、綺麗な月が――と言いたいところだが、今日は曇りなのでーす。 「…………」  なんか、すげーヒマだ。  隣に舞がいるのだが、コイツは本とにらめっこしてる最中だから、俺の相手なんかしてくんねえし。なんとまあ、俺って実はかまってちゃんのようだ。  とりあえず自覚してしまったからにはもう開き直るしかない。そう思った俺は、読書中の舞の頬を人差し指でつつき始める。うわ、すげーうぜー俺。  
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