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なぜか出されたコーラを飲みながら俺も女の子の返事を待つ。
あ、俺今日コーラ二本目だ。
「・・・9時までです」
むちゃくちゃ欝陶しそうなテンションで目線はこっちに向けずに声だけで返事をされる。
もしかしてマスター嫌われてる?
単にそういう根暗な女の子なだけだろうか?
いや、待てよ。
もしかして、これがさっきマスターが聞いてきた無口な女の子の有無を聞いてきた理由?
確かに、嫌な人は嫌なタイプの人間っぽいな。
「うるさい。静かにして」
とか言いそうな系。
二口目のコーラを飲みかけた俺にため息をつきながらマスターが口を開く。
「冷たいよな」
なんだこのおっさん。
結構センチメンタルなのか?
俺はそうですか?とバレバレの作り笑いで返事を返す。
「実は彼女も一週間前にここで働き始めたんだ。
分からないことがあっても彼女に聞いても意味ないからな。
そうやって彼女を口説こうとしたらこの俺が許」
へー
曖昧な返事をして、目線を女の子へと移す。
少し茶色がかったショートカットの髪の毛。
もみあげが全体的に長い。
化粧は軽く、いや、ナチュラルメイクってゆうの?
そんなん。
高校の同じクラスにMってやつがこんな感じの女の子好きっていつも言ってた気がする。
ほんとどうでもいい童貞だった。
目線をマスターへと戻し、コーラをまた口に運ぶ。
「じゃあ9時頃に来ます」
「うん、よろしく。手続きとかはまたその時するから」
二つ返事でその場をやり過ごした俺は、店を出ることにした。
しかもコーラ代を取られたというなんという詐欺行為。
いっきに働くのが嫌になった。
最後に女の子のほうをチラリと見た。
一瞬目があった気がするが、すぐに彼女は目線を作業をする手元に戻した。
ドアを開ける時にあの鈴の音が鳴らないようにゆっくりとドアを押した。
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