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「・・・あ」
終始冷たい目で見ていた俺だが、マスター越しにドアが開くのが見えた。
き、客だ・・・。
「お、マダム!今日はえらく遅いね」
「ちょっと面倒なクレームを処理していたんだけど、時計の針は止まっていてはくれなかったみたいなの」
そういって、四十代の小太りのババア、
-------もとい<マダム>は、手提げかばんをぷらぷらさせながらマスターの前へとやってきた。
なんだ、ここの常連さんなのか。
ちょっと面倒な匂いがプンプンするけど。
「あら、なにこの可愛い坊やは?」
「今日からここで働かさせていただきます、村田です」
あれ、敬語ってこれあってる?
「フフフ。いいのよそんなに律儀にならなくても」
そういってマダムはにこりと笑いかけてくる。
・・・ふむ。
歳なのはしかたないが、若い頃は相当モテただろう。
顔は整ってる。
「マスター、いつもの」
「かしこまりました」
レベルの高い熟女、マダムはそういって今度は立ち上がると俺の前の椅子にドシりと座った。
香水きついな。
「神崎さん、ご機嫌よう」
「ご機嫌よう、マダム」
優しく微笑む神崎。
笑ったらかなり可愛いじゃないか。
「それとーーー」
マダムは俺とがっちり目を合わせる。
「確か、村ちゃ「村田です。村田貴洋です」
なんだ。
なんなんだこいつら。
なにかの寸劇なのか?
あとで大成功~とか言って誰かが看板持ってくるんじゃないのか?
「村田くんね、ちょっとからかっちゃった」
「はぁ・・・」
「村田くんはもう社会にでて何年目なの?」
「ええっ!?僕そんな老けて見えますっ!?
・・・え、マジで言ってます?」
「あ、あぁ・・・冗談よ・・・」
マジか・・・
神崎も目丸くしてるのってなんだよ。
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