突然のお祭り

6/8
前へ
/70ページ
次へ
振り向いてみるとそこには意外な人物。 同じクラスの友達で、よく男子と混じって校庭で遊んだりしている愛がいた。 今日もボーイッシュな格好をしている。 「なんでお前がここに?」 「ここ、私の父親がオーナやっている旅館だから」 呆気にとられた。 きっと愛から見るとかなりマヌケな顔になっていただろう。 「そんなに驚くことかしら?」 驚くことだ。 驚くなというほうが無理がある。でも確か、 「昔、愛のお父さんは普通の会社員だったって聞いた覚えがあるけど」 「ああ、それね。 実はこの旅館、元は私のおじいちゃんが経営していたんだけれど、おじいちゃんが二年前に死んじゃって、お父さんが急遽この旅館の経営を引き継ぐことになったってわけ」 「へぇ~、そうだったのか。 でも、なんで来てるんだ?」 「お祭りがあるでしょ」 なるほど。 愛は父親がいるから容易に来られたのだろう。 だが俺たちはどうなのだろうか。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加