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中に入ってみると、外装とはかけ離れてきれいになっている。
外から見た以上に広々としていた。
真ん中にはこの建物にはいかにも合わなさそうな、かなり大きい像が昔からここにいるかのように居座っている。
正直、かなりの迫力がある。
愛が受付へと歩み寄って少し話をしていたが、すぐに戻ってきた。
どうやら事情を説明したようで、部屋まで案内してくれた。
歩きながら廊下の見取り図をみると、設備はだいぶ整っているようだ。
「露天風呂もあるんだ」
「そうよ。あとでいってみたら?」
「そうするよ」
部屋へ行ってみると、その中もきれいなものだった。
畳にテーブルに掛け軸。
どれも新しいもののようだ。
「じゃあ、明日迎えに来るから。
みんなで行こうね」
「オッケー」
翼が即答する。
「よし、明日に備えて早く寝よ~」
と、翼。
ちなみにまだ七時だ。
「夕ご飯食べなきゃ。お腹すいちゃった」
と、優太。
こいつはさっきまでお菓子を食べていた。
どこからこのお菓子は出てくるのだろうか。
俺は愛に話しかける。
「悪いな、急に。
翼の奴、日にちまで間違えやがって」
「でも、それに気づかない和也も和也よね」
「うっ、そういうこと言うなよ」
「まあいいのよ。
一緒に行く人もいなかったし。
じゃあ明日ね」
「ああ、じゃあな」
愛はずいぶんと楽しそうだ。
たかが祭りで何がそこまで楽しいのだろうか。
さてと、俺は親にでも電話しとくか。
心配されて警察に捜索願いとか出されても困るからな。
あの親なら本当にやりかねない。
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