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ひんやりと冷たい十二月の風が体のまわりをおおう。
水島和也は中学校から家へと帰っている途中だった。
帰りはバッグが重く感じるのはなぜだろうか。
道路の隅にはさっきまで降っていた雨のせいで水溜りが多い。
「和也~、ちょっと待ってよ~」
立ち止まらずに歩いていくと、やがて隣に息を乱した少年が駆け寄ってくる。
「もお、止まってって言ったじゃん。」
「このくらいで息切れするなよ、優太。その腹を少しはひっこめろ」
「ダイエットはリバウンドが怖いからやらないんだ」
優太は俗に言うメタボリックシンドロームになってしまっている悲しい中学生だ。
「ところでさ、今日の数学のチャレンジ問題わかった?」
今日の最後の授業、つまり一番眠くなる時間帯の授業は数学だった。
そのときに出題された問題のことだろう。
それは俺のクラス、一組の中で一番の天才が答えることになった問題だ。
みんなの期待を裏切り、その天才は全くわからなかったけれど。
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