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「あ、もう時間だ」
彼女の呟きに、意識が現実に引き戻される。
いつの間にか食事は終わっており、召集時間が迫っていた。
「ホントだ。それじゃあ、片付けないと。あ――シンクに突っ込んでくれれば後はやっとくから。ヒカルちゃんは家に戻って準備してきなよ」
「ん。それじゃあまた後でね」
「うん、また後で」
何気ない彼女の声に応え、家から出る彼女の背を見送る。
誰も居なくなった虚空を見つめながら、しばらくそのままで居る。
何分かして、けたたましく電子音が二階の僕の部屋から鳴り響いた。
セットしておいたアラームが、六時丁度を告げたのだ。
そこでようやく身体が動いた。
「さて――僕も準備しないと」
とは言っても、服を着替えるだけなのだが。
自分の部屋に行き、アラームを止め、クローゼットから服を取り出す。
そして僕は――軍服に身を包み、自宅を後にした。
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