一章

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「あ、もう時間だ」 彼女の呟きに、意識が現実に引き戻される。 いつの間にか食事は終わっており、召集時間が迫っていた。 「ホントだ。それじゃあ、片付けないと。あ――シンクに突っ込んでくれれば後はやっとくから。ヒカルちゃんは家に戻って準備してきなよ」 「ん。それじゃあまた後でね」 「うん、また後で」 何気ない彼女の声に応え、家から出る彼女の背を見送る。 誰も居なくなった虚空を見つめながら、しばらくそのままで居る。 何分かして、けたたましく電子音が二階の僕の部屋から鳴り響いた。 セットしておいたアラームが、六時丁度を告げたのだ。 そこでようやく身体が動いた。 「さて――僕も準備しないと」 とは言っても、服を着替えるだけなのだが。 自分の部屋に行き、アラームを止め、クローゼットから服を取り出す。 そして僕は――軍服に身を包み、自宅を後にした。
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