一章

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しかし核攻撃後、衛星から送られた映像に映っていたのは、見渡す限りの焦土と化した大地を変わらず進み続ける怪物どもの姿と、攻撃前には存在しなかった一際巨大な怪物に守られ、未だ上空に健在の多面体の存在だった。 四国の大地全てと、そこに住んでいた400万人の住民の命という重すぎる犠牲の上に判明した事実。 ①出現した怪物に対していかなる物理攻撃を加えても効果は無し ②多面体に対する長距離攻撃は、新たに出現する怪物によって無力化される 日本国政府は以上二つの障害を打破し、出現したおよそ2万体の怪物の殲滅、及び多面体の撃滅を遂行できる決戦兵器開発が必要と判断。 そこでかねてより研究が進められていたある『超常物体』の兵器運用を決定する。 後日、出現した怪物が這うようにして進む姿から『Crawler』と命名される。 本州に上陸した『Crawler』は、西と東の二波に分かれ本州を進行。一週間後には大分県東部と山口県中部、及び遷都が完了した京都にまで侵攻の手を伸ばした。 その明日に決戦兵器の配備が完了。 他の兵器の支援が無い上でのあらゆる戦況に対しての単独任務適応能力と、兵装の汎用性を追求されたそれは、『たった一種の兵器による戦争』という人類史上未曾有の戦闘の在り方を提示するに至った。 そして11月10日。 出現した多面体を最優先目標としてイ号標的、及びそれを防衛する怪物を準優先目標としてロ号標的と設定。 人型二足歩行戦闘兵器――通称『鎧装機』による、一大反抗作戦が開始された。
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