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「あなた小学校の頃、童話の声が聞こえるせいでいろいろ辛い目にあったみたいね」
「そ、それがどうした」
確かにみんなに避けられて寂しい思いはした。
この力がなんで自分にだけあるんだと、恨んだこともあった。
お嬢は立ち上がり、俺に近づいてきた。
「その童話の声が聞ける力はね……
アリスがあなたに与えた力なのよ」
「えっ……」
アリスが……
「アリスって……」
「そう、私たちが追っているアリス。
そのアリスがあなたに力を与えたの」
どうしてアリスが俺に……
「なんでだよ……」
「さぁ、私には分からないわ。
それはアリスにしか分からないことだから」
「じゃあどうすればこの力をなくすことができるんだよ……」
「それも私には分からないわ。
アリスに直接聞きなさい」
でも、どうやって……
「どうすれば……」
すると、お嬢が笑みを浮かべて言った。
「私たちに力を貸しなさい。
必ず連れて行ってあげるわ。
アリスのところまで」
そして俺は……
「分かっ…たよ……」
うなずいていた。
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