50人が本棚に入れています
本棚に追加
「ひかるちゃんはアリスを追うためにプログラミングされてるんだろ?」
「あ、はい。だから私が追うのは本能的なものですね」
なんだか野生の動物みたいだな。
『……♪』
「えっ……」
突然、俺は何かを聞いたような気がした。
「どうしたの?」
愛流が声を掛けてくる。
「今何か聞こえたような……」
「「「えっ」」」
ガタガタッと音を立てて、三人が一斉に俺を見る。
「ちょっと静かにして」
俺は耳を澄ませてみた。
『~♪』
確かに聞こえる。
これは……
誰かが歌を歌っている声だ。
「歌ってる……」
「なんて言ってるの」
愛流が待ちきれないように聞いてくる。
『おばあちゃんに~♪
りんごを届けるわ~♪』
今度はしっかりと聞こえた。
「おばあちゃんにりんごを届けるって歌ってる……」
「ウサギが歌ってるんですね」
「多分……」
『オオカミには気をつけましょう~♪』
また聞こえた。
なんだかだんだん近づいてくる気が……
「オオカミには気をつけようって……
なんだかどんどん声が近づいてきてる」
「おばあちゃん……
りんご……
オオカミ……」
お嬢がつぶやく。
「分かったわ。その子は赤ずきんよ」
「え?」
赤ずきんって、おばあちゃんの家にりんごを届けにいくって言うあれか。
最初のコメントを投稿しよう!