赤ずきんちゃん

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「むっちゃ怖いんだが!! ほんとに赤ずきんちゃんなのかよ!?」 俺は恐ろしさのあまり愛流に向かって思わず叫ぶ。 「人を襲うとね、顔がだんだんゆがんできちゃうの」 愛流が赤ずきんから目を離さずに言う。 「グワァァァァ」 赤ずきんは叫ぶと、物凄いスピードで俺のほうに飛んできた。 赤ずきんの口が開き、ギラギラとオオカミのような歯が見える。 「うわぁっ」 「音木さん!!」 赤ずきんが俺に触れる瞬間、女の人になったひかるちゃんが赤ずきんにとび蹴りを食らわせた。 赤ずきんはドアのある壁に吹っ飛び、壁が崩れる。 ひかるちゃん強えぇ。 しかし、崩れた壁を払いのけ、赤ずきんはまだ立ち上がった。 すると、赤ずきんの前の何もないはずの空間に爪を立て、上から下へ勢いよく引っかいた。 その空間に赤い引っかき傷のようなものができた。 「ウサギが逃げるわよ!!」 お嬢が叫び、赤ずきんに向かってマシンガンをぶっ放す。 しかし、赤ずきんのほうが一瞬早く、引っかいた空間にできた歪みからどこかに消えてしまった。 「音木くん!!追うよ!!」 愛流がその傷に向かって走り出す。 「え?追うって?」 「私たちもあの歪みに飛び込むんです!!」 女のひかるちゃんが歪みに真っ先に飛び込んだ。 「え?え?え?」 「行くわよ!!」 「お、俺も!?」 「当然よ。この先に、もしかしたらアリスがいるかもしれないわよ」 お嬢が挑発的に笑う。 そして俺を見てから歪みに飛び込んだ。 「あぁ!!分かったよ!!」 「それじゃ行くよぉ!!」 俺と愛流は一緒に飛び込んだ。 「うおぉぉぉ!!」 俺は来ると予想される衝撃に身をかがめた。
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