赤ずきんちゃん

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「音木!!」 男の声で俺はハッとする。 男の姿になったひかるちゃんは、赤ずきんにガードされながらも、休むことなく足技を繰り出していた。 男の姿の方が、パワーがある分多少動きが鈍く見える。 「音木!!声だ!!童話の声を聞け!!」 「声……」 「この世界にもきっと弱点がある!!それを探れ!!」 俺は言われたとおりに童話の声に集中する。 『……』 「えっ」 赤ずきんではない、年老いた女性の声が聞こえた。 『家に……』 「家……」 『森の……奥……家……』 「森の奥の家…… そこに何かがあるのか?」 『……』 声が聞こえなくなってしまった。 「森の奥の家……」 もう行くしかないだろ!! 「三人共!! この森の奥に家がある!! そこに赤ずきんの弱点があるはずだ!!」 「がってん!!」 愛流が呪文を唱え始める。 「……時よ止まれ!!」 愛流が叫ぶと、オオカミと赤ずきんの動きが止まった。 「みんな急いで!! この世界じゃもって十秒くらいしか時間は止まらない!!」 俺ら四人はオオカミと赤ずきんの隣をすり抜け、森の奥の家を目指して走った。
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