おばあちゃんの家

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「いつまでそうしているの?」 赤ずきんに声を掛けたのは、幼い少女だった。 「あなた、誰?」 赤ずきんは不思議そうに少女に聞く。 「私はアリス。 あなたの願いを聞きに来たの」 アリスと名乗る少女は、赤ずきんに優しく話しかける。 「私の……願いを?」 「そう。 いつまでもドアの開けられない、あなたの願いを」 その言葉を聞いた瞬間、赤ずきんの様子が変わった。 「あなたに何が分かるの!! このドアはね…… おばあちゃんに繋がってるドアなの…… このドアの向こうでは、おばあちゃんが笑顔で私を待っててくれてるの…… きっと…… きっと……」 赤ずきんはしゃがんで泣き出してしまった。 それを見て、赤ずきんに近づき、優しく頭を撫でるアリス。 「そうね…… きっとこのドアの向こうにおばあさんはいるわ」 「えっ……」 泣いた目を擦りながら、赤ずきんはアリスを見つめる。 「でもね…… このドアを開けた途端、おばあさんはいなくなるわ…… この意味、分かる?」 涙を流してうなずく赤ずきん…… 「えぇ……」 「おばあさんに……会いたい?」 「会いたい……会いたいよ……」 「じゃあ…… 会わせてあげる…… その代わり……私のウサギになって人を襲うの。 そうすれば、おばあさんに会えるわ」 「ほん……と?」 「えぇ……」 アリスは赤ずきんを抱きしめた。 そして、顔を上げて笑った。 俺の方を向いて。
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