49人が本棚に入れています
本棚に追加
/47ページ
「音木くん!!音木くん!!」
俺は名前を呼ばれながら体を揺すられた。
触覚がピョコピョコと動いているのが見える。
「ん……愛流……?」
「音木さん、起きてください」
ショートカットのシルエットが見えた。
「ひかる……ちゃん?」
「いつまで寝てるのよ」
イライラしたような声がきこえた。
そして、俺の背中に衝撃が走った。
「いってぇぇぇ!!」
一気に目が覚める。
「お嬢!!蹴りはないでしょ!!」
そう、お嬢は俺の背中を思いっきり蹴ったのだ。
「じゃあ鉛玉を体に打ち込んだほうが良かったかしら」
「優しく起こして頂いて感謝いたします!!」
目覚めた場所は、フェアリーテイルの本部のあの部屋だった。
「って、音木くん何泣いてるの?
玲菜ちゃんの蹴り、そんなに痛かった?」
「えっ……」
頬に手をやると、確かに涙が流れていた。
「私、そんなに強く蹴った覚えはないわよ」
「いや、これは違う……多分……」
赤ずきんとアリスのことを話そうと思ったが、やめておいた。
アリスのあの悲しそうな顔を思い出したら、なんだか今は言わないほうが良い気がしたから。
「多分……何?」
「多分……心の汗だ……」
「……くだらない」
お嬢が吐き捨てるように言う。
最初のコメントを投稿しよう!