おばあちゃんの家

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おばあちゃんの家

…… …… …… 「んんっ……ここはどこだ……」 目を覚ますと、そこは家の中だった。 ここは、赤ずきんの世界にあった家の中だ…… 周りを見渡すと、ベッドに人が寝ていた。 ベッドを覗くと、おばあさんだった。 「おばあちゃん!!」 ドアから赤ずきんが入ってくる。 その声で目を覚ましたおばあさんは、笑顔で赤ずきんを迎えた。 「おやおや、いらっしゃい」 そうやら二人に俺は見えてないようだ…… 「あばあちゃん、今日もりんごを持ってきたよ」 「そうかい。じゃあ剥いてあげるから一緒に食べようね」 「うん!!」 赤ずきんは嬉しそうにうなずいた。 「おばあちゃんがあげた赤ずきん、今日も被ってきてくれたんだね」 「うん!!だって私のお気に入りだもん」 「それは良かった。一生懸命作ったかいがあったよ」 どうやらこれは、前にここで起こったことが再現されているらしい。 突然早送りのように場面が進み、切り替わる。 「おばあちゃん!! おばあちゃん!!」 ベッドに眠るおばあさんに泣きながら呼びかける赤ずきん。 いや、眠ってるんじゃなくてこれは…… 医者らしき人が入って来た。 おばあさんの脈をはかり、言った。 「おばあさんは……もう亡くなっています」 「嘘よ!!そんなの嘘!!」 医者は何も言えずに赤ずきんを見ている。 「だっておばあちゃん言ったもん…… また、一緒にりんごを食べようって…… ちゃんと約束したもん!!」 涙を流して必死に訴える赤ずきん。 そして、また場面が変わる。
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