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S「ぁ、あの、良かったら…、ボタンください…!(≧∇≦)」
あれは
卒業式の次の日のことだっただろうか。
中3の春休み、そう高1に向けての休みのことだ。
大して学校で喋ったことなくメールだけの関係だった俺達。
初めての告白だった。
その時の俺といったら、洗面所で飛び上がって喜んだのを覚えている。
俺はソッコーで返事を出した。
「いいよ! 今度渡すね!」
数分後返事が
「えっと、じゃあ…。付き合ってくれますかぁ?(^w^)」
これが俺の人生で初めての
「お付き合い」。
数日後
地元の公園で待ち合わせし、俺は約束の第2ボタンを渡した。
そして、数時間二人で将来のこととか高校のこととか語り合った。
帰り際に彼女がそっと手を差し出してくれた。
俺は手を重ねた。
初めて女性とちゃんと手を繋いだ。
あの時の俺達の緊張した顔といったら初々しくてたまらない。
お互い照れながら…。
このまま時間が止まればいい。
あの時は本当に幸せだった。
心から…。
幸せは長続きすると思ってた。
でも高校に入ってから次第にメールの返事が遅くなってきた。
そしていつしかメールの返事は一日後が当たり前、ひどい時にはメールが返ってこない時も合った。
それから数日後…
耐えきれなくなった俺はついに思いきって彼女に聞いてみることにした。
「ねえ…? 本当に俺のこと好き?」
送信。
この時はなぜかすぐに返事がきた。
「ごめん…。正直もう好きじゃないかもしれない。今は高校で忙しいんだ。今は夢に向かって頑張りたい。だからもう付き合うのは難しいと思うんだ…。」
夢だ
そうだ夢に違いない。
しかし、頬に伝う涙で目が覚めた。
これは現実だ。
サツキは俺より夢を選んだ。
俺は、絶望した。
しばらくは悲しみに暮れ、涙の日々だった。
今思うと俺が彼女を愛しすぎた結果なんだと思う。
熱いスープも何度も息を吹きかければ冷める。
これは
心から心が痛んだ。
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