「優」【白】『蝋』

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「白い人形」 其れは純白の少女 何時も微笑み絶やさぬ人形 きっと幸せなんだろう きっと優しいのだろう きっと痛みを知らぬだろう きっと哀しみを知らぬだろう きっと嘆きを知らぬだろう 全てを知らぬ者達は、美しい人形に見とれて何も知らずに称賛をし 彼女は其の言葉を許し微笑み称え唯、静かに両手を差し出し 誰も彼女の産まれた意味を知らぬだろう 苦しみと哀しみを抱えた一人の男が産み出した一つの形 誰も知らない彼の想いは 唯、静かに彼女だけは微笑む 廻る記憶 巡る螺旋 痛み、苦しみ 怨み、恐れ 人形は其の意思を知り開かぬ口を微笑み 螺旋に焔を灯した 最後に何を抱く?
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