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「蝋人形」
滑らかな手触り
綺麗な躰
彼女の名は「ミール」
ある有名な人形師の作品
彼女は洋館の中に飾られ
きらびやかに輝く調度品に負けぬ輝きを放ち屋敷の主人も気に入っていた
そんな屋敷も時が経つにつれ衰退し
屋敷の主人も気が短くなり
屋敷の主人は屋敷の物を売り払い
「売れない物は壊してしまえ!」
屋敷の主人は荒れ狂い
全ての物を壊した
けれど、彼女だけは売る事も、壊す事もしない
まるで何かに取り憑かれた様に
屋敷の主人の裕福だった顔も痩せこけて
彼女の為に生きるかの如く
屋敷の主人は屋敷と共に死を迎え
其の街の噂になり
時は流れ
百年の月日は屋敷を消し去り
植物が無秩序に生えて人を寄せつくけない事を提示した
其の平原に不自然な人影
まだ彼女は朽ちず昔と変わらない美しさを見せつけている
何処か彼女の微笑みには哀愁が見えた
風の噂によれば
まだ彼女を産んだ人形師は死んでいないと言う
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