童話『ラプンツェル』

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─子に恵まれなかった夫婦にも念願の子供が出来き、幸せに暮らしていました。 ある日、母親が言いました。 『魔女の家のラプンツェルが食べられなければ、死んでしまうわ』─ 野萵苣(ラプンツェル)と引き換えに 私は魔女の元に来ました 私の名前は“Rapunzel(ラプンツェル)” 魔女が付けてくれた名前 出口も自由さえも無く 魔女の為に長い髪を垂らして 今日も外の世界を 羨んで想いを募らせるばかり シンデレラも白雪姫も 童話の世界だけれど お姫様はいつだって 王子様に恋をしているのよ だから早く来てね ずっと、アナタだけを待っているから ある日見掛けた高い塔 そこに住む少女に恋をした 必然のように惹かれ合い 魔女に隠れて繰り返す逢瀬 けれどついには見付かって 少女は荒野へ放逐され 僕は塔から身を投げて 光を失ってしまった たとえ離れ離れになっても 心配はいらないよ 王子様はどこだって お姫様を見つけ出せるんだ だから待っていてね 必ず、キミのもとに辿り着くから シンデレラも白雪姫も 童話の世界だけれど お姫様はいつだって 王子様に恋をしているのよ だから早く来てね ずっと、アナタだけを待っているから たとえ離れ離れになっても 心配はいらないよ 王子様はどこだって お姫様を見つけ出せるんだ だから待っていてね 必ず、キミのもとに辿り着くから 七年の歳月を経て 王子様はお姫様のもとへ 光失った瞳にも 愛しい君の顔が見えるよ 絶対に離したりはしない ずっと、君を守り抜いてみせるから…
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