第一話

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スタジオから30分かけて都会から少しばかり離れたところにきた。山が緑で綺麗で春だな。と実感した。 「真矢着いたよ。」 景色ばかり見ていて目的地に着いたことに気付かなかった。 大きくて綺麗な学校を車から見上げる。 圧倒的に母校よりデカイ…東城高校という名前の高校だ。進学校として有名らしいが全く私は知らなくてマネージャーに言われたときにビックリした。 そして今日ここで私は自分の体験談を生徒達の前で発表する。かなりドキドキする。足はぶるぶると震えるし頭はここに来ても混乱しそうだ。胃のあたりに変な感じがする。 ドラマ撮影や番組とかよく出るときも緊張するが、こっちも緊張する。 大きく深呼吸をして車から降りた。その瞬間春独特の強い風が吹いて髪がなびいた。 「準備はいい?とりあえず校長先生に挨拶しに行くよ。」 マネージャーの菊地さんが言って歩く。体育館と思われるとこを横切ると 「相変わらずこの高校のチャペルはデカイな~」と言って見上げる。 「チャペル?」初めて聞いた言葉に驚く。 「あぁ、キリスト教の人が礼拝するところだよ。」 そんな物が高校にあるのか……。教会みたいなものがなぜ高校に? どうしても私の母校と比べてしまうがこっちの高校の方が圧倒的になにもかもが上だ。 とにかく田舎育ちの私が想像していた高校とは全く違っていた。さすが都会…。 こっちに来て五年たつがこんなものを見たのは初めてで驚いて唖然としていた。 「世界は広いんだね…。」思わず言ったらスタッフの人達が笑っていた。
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