第一話

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「あ、あの」 「はぁ、開けたら閉めてもらえますか?」 私の発言を遮るように男が言う。私は慌てて中に入ってすぐにドアを閉めた。 「で?なんですか?」 本を閉じて大きな欠伸をしながら言う。 「あの、もしかしてここの生徒ですか?」 「もしかしなくてもそうだよ。」 当たり前だろ?と言った表情で頭掻きながら私を見る。 「で?用件は?」 男が話の先を促した。 「この部屋かしてくれませんか?」 「なぜ?」 今日発表会がある話をして練習したいと言った。 「ふ~ん。そんなことを良樹が言ってたな…、今日だったのか…。」とぶつぶつ言った。 「あの、えっと、時間が無くて大変なんです。後であっちに連れていってください。」 「はぁ、要約しすぎて全然意味がわからない。あっちってどっち?」 「あ、すみません、体育館です。」 「あぁ、ところで、君は誰?」 嫌な奴だ。話してる途中で言葉を入れられて真っ先に思った。この人はさっきから全く表情を変えない。ずっと眠そうに聞いて思いついたことを自分勝手に喋る。 「あ、中村真矢といいます。芸能プロダクションの」 「名前だけでいいよ」 男が面倒くさそうに手を振り話の腰を折る。さっき感じた嫌な奴だという感情は怒りに向けてエスカレートしていく。 「まぁ、さっきの発表の練習するのは構わないけど、何時まで?」 時計を見た。開始は11時からで14時までだ。 「10時30分に体育館にいたいです。」 大きく息を吸い込み天井を見上げて何やら考えている。 「5000円。税込価格だ。」 「お金取るの!?」 余りにも唐突過ぎて声が大きくなってしまった。 「うるさい」 「ご、ごめんなさい。けどなんでお金を取るんですか?」 「部屋を貸すからだ」 「ここは学校の部屋でしょ?」 「あぁ、建物もな」 「ならあなたにお金取られることにはならないじゃない」 内心やったと思った。 「なら貸さないだけだ。わざわざここを使う必要も無いだろ?」 そう言って入り口の扉を指差した。 「そうですね!」 そう言って私部屋から出た。なんてムカつく奴だ。あれで高校生!?ひねくれ過ぎだ。 建物の扉を片っ端から開けようとするがどれも開かない…そして時間もヤバイ…
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