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「あ、あの」
「はぁ、開けたら閉めてもらえますか?」
私の発言を遮るように男が言う。私は慌てて中に入ってすぐにドアを閉めた。
「で?なんですか?」
本を閉じて大きな欠伸をしながら言う。
「あの、もしかしてここの生徒ですか?」
「もしかしなくてもそうだよ。」
当たり前だろ?と言った表情で頭掻きながら私を見る。
「で?用件は?」
男が話の先を促した。
「この部屋かしてくれませんか?」
「なぜ?」
今日発表会がある話をして練習したいと言った。
「ふ~ん。そんなことを良樹が言ってたな…、今日だったのか…。」とぶつぶつ言った。
「あの、えっと、時間が無くて大変なんです。後であっちに連れていってください。」
「はぁ、要約しすぎて全然意味がわからない。あっちってどっち?」
「あ、すみません、体育館です。」
「あぁ、ところで、君は誰?」
嫌な奴だ。話してる途中で言葉を入れられて真っ先に思った。この人はさっきから全く表情を変えない。ずっと眠そうに聞いて思いついたことを自分勝手に喋る。
「あ、中村真矢といいます。芸能プロダクションの」
「名前だけでいいよ」
男が面倒くさそうに手を振り話の腰を折る。さっき感じた嫌な奴だという感情は怒りに向けてエスカレートしていく。
「まぁ、さっきの発表の練習するのは構わないけど、何時まで?」
時計を見た。開始は11時からで14時までだ。
「10時30分に体育館にいたいです。」
大きく息を吸い込み天井を見上げて何やら考えている。
「5000円。税込価格だ。」
「お金取るの!?」
余りにも唐突過ぎて声が大きくなってしまった。
「うるさい」
「ご、ごめんなさい。けどなんでお金を取るんですか?」
「部屋を貸すからだ」
「ここは学校の部屋でしょ?」
「あぁ、建物もな」
「ならあなたにお金取られることにはならないじゃない」
内心やったと思った。
「なら貸さないだけだ。わざわざここを使う必要も無いだろ?」
そう言って入り口の扉を指差した。
「そうですね!」
そう言って私部屋から出た。なんてムカつく奴だ。あれで高校生!?ひねくれ過ぎだ。
建物の扉を片っ端から開けようとするがどれも開かない…そして時間もヤバイ…
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