陽ちゃん

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馬鹿でもなんでもいい 借金なんて稼げば返せる 仕事なんて探せばある 他の何を失っても 代わりはある でもお前の代わりは どこにもおらん!! 一年でも二年でも なんなら百年だろうが お前が笑って暮らせてるなら いくらでも待つわっ! でもそうじゃないだろ 連絡の取れないその間 裕美が笑えなくなった時 俺らは誰もそれに気付けない 俺はそれがいやだ 俺は裕美が一番心配なんだよ 消えるな 消えるなら俺も傍にいて お前と一緒に消える 裕美が言ってた 友達 家族 恋人 それぞれの線の中 俺にとって裕美はその全部だ 線引きなんて存在してない 友達よりも深いし 家族よりも素直になれるし 恋人よりも頼りにしてる お前がいなくなる事が俺にはなにより怖い だから頼むよ 消えないでくれ ------------------- 過去のメールを見てたら、陽ちゃんからのメールがあった。 あたしはこの時、離婚することを諦めて、自分の人生を諦めて、ひっそり死のうか、完全みんなから離れて生きようとしていた。 みんなと繋がって居たら、あたしは自由に生きているみんなにいつか嫉妬してしまう。 幸せな結婚をして、大好きな人の子供を産んで、育てて、そんな人生を生きている友達に嫉妬してしまうだろうと思った。 大切な友達の幸せを願えない、喜べない人間にはなりたくなかったんだ。 周りも自分も、嫌いになんかなりたくなかった。 だから、連絡なんて取れなくても、みんなが元気で幸せで、直接関われなくても、この空の下で繋がっていれたら、それでいいと思った。 幸せを願える自分で居たかったから。 そんなことを思っていた矢先、陽ちゃんからこのメールを貰った。 涙が止まらなかった。 額に入れて飾りたいと思う素敵な言葉だった。 あたしは自分の人生を何度も何度諦めかけた。 だけどその度、周りの人間はそうはさせてくれなかった。 そんなお節介であったかい人間に囲まれていることを心底幸せだと思う。 あたしの命は、みんなによって守られて来た。 だからあたしは 今、生きているんだ。 生きているんだよ。 ありがとう。 あたしを守ってくれて。 共に生きてくれて。 ありがとう。 親愛なる友。
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