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そして扉が閉まると、少しだけ俺は溜め息を漏らす。
「なんだ?緊張していたのか?」
にやにやとルーシアが頬杖をつき俺を見る。別に緊張などしていない。ただ、何故か溜め息がつきたくなったのだ。
知らない世界…知らない空気…
溜め息がつきたくなる。
「いい加減この手錠とか外して欲しいんだけど…」
「断る」
「なんで?別に逃げたりしないぜ?どうせ逃げても知らない世界だからな…」
「そうじゃない。手錠とかは私の趣味だ」
「……やっぱりあんた……お姫様って柄じゃねーな」
「だから言っただろ。……なんだ?手錠が嫌ならなんでもいいのか?」
「いや…なんでもじゃないが、…つか手錠が無理なら首輪と足枷だけ外してくれないか」
「それは無理だな」
「は?」
「外したらつまらんだろ」
「いやつまらんじゃなくて…」
「あーわかったわかった。外してやるからわめくな」
なんなんだ。まるで俺が聞き分けない子供みたいじゃないか…
ルーシアは俺を見ながら、手を軽くあげ、早口で何か唱えた。すると…どうだ?
足や首が軽くなるのを感じ、見ると戒めが解かれたのだ。手首も外したらしく、ほっと安心したのも束の間…
「!?」
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