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「おや、随分私がいない間に仲良くなったみたいですね」
「は?何を言うセバリック」
「どこをみれば仲良くなったってみえるんだあんたは」
「ふふ…そういう事にしておきましょう。…さ、どうぞ定島様、いつまでも床に座っているとお尻が冷えますよ」
薄く笑いながら、椅子を軽く引く。俺はその椅子に腰掛けると目の前に置かれた温かなコーヒーのカップの取手を持ち、軽く口をつけ、飲んだ。
インスタントじゃない本格的なコーヒーだった。飲んだ事ないけどインスタントとは違うってのがすぐにわかる。
口に残る濃厚で上品な味わい。
「美味い…」
無意識に零れる。セバリックは満足そうに微笑んだ。
「それは良かった。異世界の人の口に合うかドキドキしてましたから。クッキーもありますよ。出来たてなので火傷には注意して下さい」
まるでお母さんのようだ。
失礼ながらそう思いつつも、俺はクッキーを一つ摘み口に入れた。
サクサクしてほどよい甘さで、シナモンが効いて美味い。
「どうだ?セバリックのクッキーは絶品だろ?」
「あぁ…パティシエにでもなれるんじゃないかってぐらい美味い」
「でしょでしょ!」
なんでお前が威張る?
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