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「なんだ?お前どっか躯悪いのか?病弱…そうにはみえないが」
「お前じゃない。ルーシアだ下僕」
「げぼ…俺にだって名前あるんだけど。定島龍之介って名前が…」
「長い。サダリュウでいいサダリュウで」
なんだその略し方。俺は漫画やドラマのタイトルじゃないんだぞ…
しかし相手が一応お姫様なので少しだけ怒りを耐えてみせているのだが………何故だろう、綺麗な顔してる分こんな性格の女を目にすると凄く腹立たしい…
「まぁいい定島だな。安心しろ。私は病弱キャラではない。いたって健康体だ」
「そのようだぜ。みてりゃわかる」
「定島様、お嬢様は実はこうみえてとてもシャイな方でして、男の方が苦手なのです」
「そんな風にはみえないが」
「それは貴方が異世界の方だからですよ」
ピシャリと言い放つセバリック。
「……そうなのか?」
ルーシアに同意を求めた。ルーシアは上から目線の見下ろした顔で“あぁ”と言う。異世界からきた俺には全然シャイな女の子の微塵も感じない。
「つかなんで俺ここにいるわけ?俺を元の世界に返してくんねーかルーシア“お嬢様”」
わざとらしく首輪の鎖を音たてて、“お嬢様”を強調させて睨む。
「……ルーシアでいい。お嬢様と言われるのは好かんのだ。そういう柄でもないしな」
わかってんじゃん。
…と、内心呟く。
「しかし残念だな定島。お前は元の世界へ帰れない」
「は!?」
「お前があちらの世界で何をし、何を望んだかわからんが、私のタイミングとお前のタイミングが重なったのだ。異世界のものをこの世界へ召喚するのは難しい。ただ願えば現れてくれるものではない。ちゃんと準備も必要なのだ。魔力が高い私でも無理な事。すぐに召喚…なんて願い石じゃないとできん事だ」
「願い石?」
「名の通り願いを叶えてくれる石だ。伝説上の空想な石だ。ありはしない。あったら奇跡だがな。私も見た事ないからわからん。とにかくもし元の世界へ帰りたいのなら長い時間が必要なのだ。あとは神に頼むか見つかりもしない願い石を探すしかないだろう」
な…、なんなんだこの女。
「つれてくる事はできても帰す事はできないってか?」
「そうだな。帰す気もないしな」
「てめぇ!」
「汚い手で触れるな。セバリック!」
「はっ」
「なっ…ぐぅ…」
首輪の鎖を引っ張られ、床に倒れる。
く…首がしまって、苦しい…
俺は強くルーシアを睨みつけた。
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