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ぎゅるる…
知らない世界…エレス国へきて随分時間が経過する。五時間はこえただろうか…
窓の外の空の色が青から赤へと変わっている。お昼はとうに過ぎていた。
ぎゅるる…
腹が減った。さっきから鳴り止む気配はない。
そんな俺の近くでルーシアはクッキーを頬張り、紅茶を飲んでいた。
「あー美味だ美味だ!セバリックの手作りクッキー、紅茶……最高に美味だ」
「有難うございます」
「ぐぐ…」
わざとらしく大きく言わなくても聞こえるっての。
空腹時だと些細な事でもイライラしてしまう。ルーシアは俺をイライラしてしまう原因でもあった。
いや、素直にセバリックの紅茶をとらない俺も悪いが…
「定島様…紅茶だけでもお飲みになった方が…」
「残念ながら俺は紅茶嫌いなんだ。コーヒー派なんで」
「ならコーヒーをお持ち致します。それならお飲みになって下さいますよね?」
「ま…まぁな」
「では、少し席を外します。お嬢様、クッキーを喉に詰まらせないで下さいね」
「わ…私を子供扱いするな!」
「はいはい」
どうみても子供扱いしてるよな…
と、内心苦笑い浮かべながら、俺はセバリックの背中を見送ったのだった。
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