こくはく

4/14
前へ
/33ページ
次へ
   不意に、このまま電話を切りたくなった。  「どっ、どうしたの?」  それでも、私は真に話しかけた。  でも、  怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。  『あのな、美音』  怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。  『実は……俺』  怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。  『彼女が出来た』  何かが、大切な何かが壊れた気がした。  それからは、あまり覚えて無い。  真が彼女の話をしだして、私が何とか『おめでと~』だの『やっと真のお守りをしなくて良くなるわ~』だの、思ってもいない事ばかり言った様な気がする。  嫌だった。私だけを見て欲しかった。  終わったと思ってた……諦めたと思ってた。  でも、まだ続いていた。私の〝初恋〟は、今日、この日、再び蘇り――――無惨に散った。  真との話しが終わって、携帯を投げ捨て、私は……泣いていた。  泣いて泣いて……散った〝初恋〟を洗い流そうとした。  でも、  いくら泣いても、私の〝初恋〟は無くならなかった。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加