175人が本棚に入れています
本棚に追加
「アナタ……女の子?」
私の言葉を聞いた瞬間の彼の顔は、今だに忘れられない。
驚愕と絶望の表情。そして、その中に何処か嬉しそうな感情が混ざっていた気がする。
「ちっ、違うよ!」
顔を真っ赤にして叫ぶ彼。そのまま彼は、走りさってしまった。
私は、そんな彼の後ろ姿を見て興味を抱いた。
他人に興味を持った事の無い私が持った、小さな小さな興味。
その日以降、私は彼に付きまとう様になった。
毎日毎日、私は彼に会いに行った。
初めこそ嫌がっていた彼だけど、一週間が経った辺りから諦めたのか徐々に仲良くなっていった。
私は、一緒に喋る彼を、一緒に帰る彼を、一緒に遊ぶ彼を観察していった。
私の赤いランドセルを羨ましそうに見る彼。女の子が見る様なアニメの話し。そのアニメのオモチャが欲しいけど、無理なんだと愚痴ってた顔。私が履いているスカートが可愛いと褒める言葉。
そして、私は彼が女の子に近いと判断した。
それでも、私は彼から離れようなんてしなかった。
興味があるから?……うん、多分違う。
私は彼に恋をしてたんだと思う。
絶対に叶わない初恋を……
最初のコメントを投稿しよう!