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小学校を卒業する頃、彼は随分と背も伸び格好良くなってきた。
私と彼の仲はさらに良くなり、休日には、お互いの家に泊まりに行く程だった。
そして、中学校に入学した時。私は彼に大事な話があると言われた。
場所は、彼の部屋。質素な部屋だった。何だか凄く淋しい部屋。
そんな部屋に私と彼は二人っきりだった。
彼と色恋ざたになるわけないと思っていた私だったが、ほんの少しの期待が入った胸はドキドキとしてた。
そして、彼が告げた言葉は、ある意味予想通りで……一番聞きたくない言葉だった。
「みーちゃん。僕……いゃ、私ね本当は女の子なの」
私は、静かに彼の言葉を聞く。
「多分ね、性同一性障害ってやつ。身体は男だけど、心は女なの……これ、両親も知らないんだ……でも私、みーちゃんを信じてるから、隠したくなかったの」
ごめんなさい。と言う彼……いゃ、もう彼女か。
そんな彼女を見ながら私は『マコちゃんはマコちゃんだよ~』……何て言っていた。
彼女は泣いて喜んでいたけど、私は別の意味で泣きたくなった。
私の叶う事が無いと分かっていた初恋が終わった日だった。
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