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奏「理事長!私赤火と結婚しました!」
喜色満面の笑顔で告げられてから2時間。
最初は祝言を言ったりボケたりツッこまれたりとあれこれしていた私も、2時間に渡って新婚出来立てホヤホヤな奏君の惚気を聞かされれば若干目も遠くなるさ……。
しかも相手は奏君だからね。
普通ならこのパーフェクトな竜胆スマイルと話術で丸め込んで部屋から追い出すなり押し倒すなり襲いかかるなりするのだが彼女相手には暖簾に腕押し、焼け石に水。
そして最後の手段とばかりに私自身が部屋から脱出しようとした結果………
奏「――で、新婚旅行でハワイに……」
竜胆「奏くーん……ハワイはいいから、この縄を外してくれないかなぁ?私は縛られるより縛る方が好きなんだが」
奏「そしたら赤火が目の前で逆ナンされてて!」
竜胆「………おーい」
今素で助けが欲しいと思った。
エルム君……いや、駄目だ。きっと彼は見捨てそうだ。
ならば桜はどうだ?……見捨て無かったとしても負かされる確率大。
なら!大親友のルー君はどうだ!
彼ならきっと、いや確実に奏君を退かせることが出来る筈!!
ルー君に届け!私の想い!!
コンコン、ガチャッ
ルーク「竜胆、この前貸した……」
早いッ
流石ルー君。テレパシーを送って0.5秒しか経ってないよ。
きっとこれは君の愛の証だね!
竜胆「ルー君!ヤッパリ来てくれたんだね……嬉しいよ!」
奏「ん?ルークじゃない」
ルーク「………どうした?この異様な光景は……」
ふっ……奏君。可哀想だが、これで君は退かざるを得ない。
さぁ、ルー君。
私に救いの手を……!!
ルーク「ああ、これだ。竜胆、借りるのは良いがちゃんと返せ。一々お前の部屋まで来るのは面倒なんだよ」
ベッド脇に放置された大人の玩具を手に取ると、汚れていないのを確認して彼は玄関に歩いて行く。
竜胆「待てルーク!この縄を」
思わず素で焦った私を横目で一瞥したルークは、何とも煌びやかな笑みでこう言った。
ルーク「―――たまには良いんじゃないか?その格好も」
パタン
嗚呼、そうだ。
肝心な事を失念していたよ。
――君は最高のドSだったね
結局、奏君は心配した赤火君が呼びに来るまで入り浸り、それまで私は縛られたままだったことをここに追記する。
完
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