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「修行が足りんな、シモン」
「くっそぉ~…」
口を尖らせてひねくれるシモン。
ハバドは相変わらず笑いながら、ふと時計に目をやった。
長針と短針が後五分足らずで12をまたごうとしている。
「そろそろ昼飯の時間だな。
組み手を切り上げよう」
そう言うと、シモンは額に手を当てたまま頷いてハバドの隣に並んだ。
白いテーブルクロスの上に並ぶ豪華な食事…。
海、山、平野…
様々な幸をふんだんに使った料理が数多く並んでいた。
料理の並ぶ長テーブルの周りには五つの椅子があり、その内三つはすでに埋まっていた。
シモンの祖父、つまりハバドの父であるアースと、妻のアンリ。
そしてシモンが産まれてから二年後に誕生した、妹のエリスである。
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