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「わぁ…凄い……」
中の書物はシモンの到底理解出来ないような計算式や理論…
それが端から端まで綴られており、シモンは手当たり次第に読みあさった。
魔力構図の仕組み…
魔法陣分解の基礎知識…
属性分解の予測…
全てが初めての内容であり、全てがシモンの心を動かすような物ばかりだった。
書いている意味は分からないにせよ、中にある図形や記号等を見て気持ちが踊る。
そんな有頂天な彼の心臓が突然飛び跳ねた。
横からドサッという物音が響き、ハバドに見つかったと思ったからだ。
しかし音の方に目をやると、たんに山積みになっていた本の一部が崩れただけだった。
ホッとするシモンの目に、崩れた山から表紙を覗かせている一冊の本が映る。
興味をそそられたシモンは、山をそっと崩し、その本を手に取った。
黒い表紙と裏表紙…
そこにそれぞれ金のインクで、丸に囲まれた六芒星が描かれている。
背表紙には何も書かれておらず、不思議に思ったシモンは一ページ目を見てみた。
「………あれ?」
何が書かれているのだろうとワクワクしていたシモンだが、開いた瞬間に興味が薄れる。
何も書かれていない…
タイトルどころか文字さえも……。
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