崩壊

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「何なんだ、この本…」 首を傾げてそれを閉じようとする。 しかしその瞬間、目を疑うような光景が飛び込んだ。 何もないページからジワッと黒いインクが滲み出し、文字を綴り始めたのだ。 シモンは声にならない歓声を上げて、その本の文字を黙読した。 ―――――――――――――― 汝これを読むは力ある者の証。 汝これを使うに相応しき者なり。 汝力欲しくば次の文章を読み解け。 さすればこれ、本来の姿を示さん。 ―――――――――――――― 文章の意味はよく分からなかったが、とにかく『次の文を読め』と言っているという事はシモンにも理解出来た。 そしてワクワクが止まないシモンは、示された文章の意味を理解しようとせず、淡々と音読した…。 これが悪夢の始まりとも知らず……。
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