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「我これに選ばれし者なり。我示さんは闇の印。
【デスサイン】」
全てを言い終えた瞬間、スーッと背中に寒気を感じる。
『闇の印』
示された文章には確かにそう書かれていた…。
闇…それはシモンにとって恐怖以外の何者でもなく、それが書かれているその本を不気味に感じた。
心臓がうるさく喚く中、本が突然淡い緑色の光を放ち始める。
驚いたシモンは慌ててその本を放り投げ、自身から離した。
「な、何だ……」
嫌な予感が止まらない……。
シモンはその本をじっと見つめ、硬直する。
すると緑色の光は徐々に一点に集中し、フワリと本から離脱した。
黒寄りの緑色の球体…
それはまるで辺りを見渡すかの様に本の周りを飛び回る
そしてかすかに開いていた窓から飛び出し、天に消えた。
硬直していたシモンは、慌てて窓を全開して空を見上げる。
そこにはまだ夕日が残る綺麗な空…
しかしその美しい光景がどこから現れたかも分からない巨大雲によって遮られた。
そしてその雲は徐々に雷を帯び始め、シモンの屋敷を中心にグルグルと渦を巻く…。
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