崩壊

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やがてその雲は何かを作るかのように妙な動きを見せる。 ポッカリ穴の空いた目… 剥き出しになっている歯… それは間違いなくドクロの形をしていた…。 そのドクロはシモンの方を向き、ニヤリと笑みを浮かべる。 「あ……あぁ……」 完全に度肝を抜かれ、シモンは震えてその場に座り込んでしまった…。 「シモン!」 そこへトイレから戻ったのか、ハバドが慌てて駆けつける。 そして空に浮かぶ不気味なドクロを見て顔を青ざめた…。 「大変だ……」 ハバドは瞬時に辺りを見回し、あの本を拾う。 そして迷わず最後のページを開き、シモンの前にバンッと叩きつけた。 「この文章を読め!」 「え……?」 「早く!!」 ハバドはいつもとなく物凄い剣幕で叫ぶ。 その気迫に怯えながらも、シモンは示された文を震える声で読み上げた。
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