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「あんたが居たから……此所に居たから、俺は母さんにあんたの桜を見せてやりたいと思えたんだ。心の底から、鹿を捕ろうと思えたんだ。……あんたが居なかったら、多分、鹿を殺せなかったと思う。あんたのお陰で、俺は決心出来たんだ」
そう言い終えた青年は、鹿を自分の上に被せる。
そして、小さく呟いた。
「ありがとう……、あんたも、この鹿も……。こいつの命、絶対に無駄にはしないから」
青年は、そのまま目を閉じ、ジッと動かなくなる。
青年が、鹿を捕る度に小生の前でした行為だ。
何でも、青年の父親は、鹿を捕る度にこうして背負ってたんだそうな。
鹿の温もりが無くなるまで、そうして感謝し続ける。
そして小生は、その行為を中々気に入っていた。
命の尊さをしっかり理解している行為だから。
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