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働き手の無かった青年は、知人の助言に従い、猟を始めた。
幸い、青年の今は亡き父親が猟師であった。
だから青年は、何度か猟を体験していたので、山に溶け込むコツはすぐに掴んだんだそうな。
青年は、毎日小生の元を訪ね、毎日母親の容態を伝える。
その時に、青年の食している握り飯に具は無い。
少しでも金を貯めておきたいのだろう。
冬が過ぎようとする頃には、青年は既に鹿を二頭捕っていた。
あと、一頭。
あと一頭捕れば、青年の母親は助かる。
時間が無かった。
青年の母親は、日に日に弱々しくなって行った。
同時に、青年は小生の元へ来る時間も惜しくなったのか、小生へと会いに来なくなった。
冬は、過ぎようとしていた。
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