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青年が立ち寄らなくなり、10日後の昼。
中年の猟師が一人、小生の前に現れた。
どうやら、狩りの途中らしい。
中年は、ちらりちらりと辺りを見回し、何も居ないと知るとすぐに違う所へと去って行った。
珍しい。
珍しい事もあるもんだ。
今年の冬は、二人もの猟師が此処を訪れた。
珍しいのだが、その分何やら不安が小生を襲う。
確信は無いのだが、不幸な事が起きようとしているような……。
長年の勘、と言えば信じて貰えるのだろうか。
……兎にも角にも、何も起きない、いつも同じ冬が過ぎるのを待つとしよう……。
「おい、やった!!やったぞ!!やっと、最後の鹿を……!!」
突然、久しい声が耳に入ったので、小生は少し驚きながらも青年をみた。
……と言っても、小生に耳は無いのだが。
「これで、母さんは助かる!!っ……、ありがとう、あんたのお陰だよ……」
……今更ながら、この青年は妙な性格をしているなと思った。
小生は別段何もしていないのだが……。
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