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北條豊は室内に入って、リール式の本棚を元に戻す。
4階の部屋は、3階の部屋をコピーしたように調度品までも同じだった。
相違する点を挙げれば、気分を滅入らせる纏(まと)わり付くような陰湿な気。
心の中まで凍らせるように襲い掛かかってくる邪気に北條豊は、閉口していた。
(嫌だな。本当に気が滅入る……)
豊は顔を引きつらせた。
暫くして豊は、冷蔵庫の下のフローリングの床に手を入れた。
そして、ごそごそと手を動かし始めた。
手を引くと、ブーンという音がして冷蔵庫が手前に動き出した。
(最初は面倒臭い仕掛けだと思ったが、馴れるんだな人間は……)
この仕掛けは、3階の部屋には無い。
唯一の相違点を挙げれば、これだけである。
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