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今は誰も、その独房にはいない。
豊は深く深呼吸をした。
そしてゴクリと唾を飲み込んでから、最後のモニターのスイッチを入れた。
(大丈夫。
今も定期的に催眠ガスを空気清浄器から送り込んでいるから)
液晶画面に20畳の空間が映しだされた。
部屋はコバルトブルーとエメラルドグリーンが混在した、不思議な部屋だった。
部屋にはダブルベッドと簡易浴室兼トイレが設置されている。
ベッドに一人の美少女が、倒れ込むように横たわっていた。
横顔だけからでも、想像を絶する程の美少女だと推察できる。
髪の長いぞっとするほど透明な肌。
そして心の奥まで覗きこまれるような瞳。
豊は初めてその少女を見た時、恐怖を覚えた。
豊は、この少女は普通の部屋では危険だと思い磁気を遮断してあるこの独房に移動した。
この少女は催眠ガスと象でも瞬時に眠らせる麻酔銃を打ち込んである。
独房から出して地球の磁気を浴びるとこの悪魔は覚醒する恐れがある。
だから、この独房から出すことは出来ない。
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