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『ブーン……ブーン』
虫の羽音が脳髄を掻き乱す……
(いつもの発作が……)
暫くすると、羽音が悪魔のような囁きに変化する……
地の底から響く甘美な纏(まと)わり付くような声に、北條豊は股間が膨脹するのを感じた。
『お前は正常……』
『お前は異常……』
二つの囁きが、まるで羽音のように反響する。
北條豊はフラフラしながら本棚に近づく。
そして、
リール式の本棚を、右手で荒々しく左に寄せた。
本棚の後ろの壁に突起したボタンが見えた。
今にもイキそうな顔付きで豊はボタンを押す。
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